夢とタマネギと讃岐うどん(8回目) 

<そもそもは>

今年は例年1月に実施されている讃岐詣でが適わなかったこともあり、そろそろ讃岐うどん成分切れの症状が出てきていた我が家の二人。しかもANAのマイルが有効期限切れになりそうだったのもあり、久しぶりに夏のうどん食べますかねということで高松行きを企画。しかしながら、相方さんの仕事的に週末きっちりと休むのは難しく、日曜の朝発で月曜の午後早め帰りなら何とかなりそうということになった。

で、一緒に行く?とY子さん夫婦を誘ったところ、なんと7月初めからHが関西勤務になるとのこと。だったら、いっそワタシは土曜日から関西へ行って3人で遊んでから、日曜の朝に相方さんと高松で合流しようということにする。ついでに弟クンにも声を掛けてみたところ、こちらもまた二つ返事で高松からの同行が決まる。土曜日は今までちゃんと行ったことのない淡路島へ行くことに決定。

<2010年7月10日(土)>

8時発の飛行機で伊丹へ。久しぶりにANAの国内線に乗って驚いたのは飲み物が有料になっていたこと。どこのLCCかと思ってしまったよ。週末だからなのか、どうなのか便はそこそこ混んでいた。9時5分に到着し、そこから9時半のバスで三宮へ。10時20分ころ三宮のバス停に到着し、Hのレンタカーに拾ってもらう。実はバスに乗るときにメールしたんだけれど、なかなか返事がこなくて、別に気にするほどのことではなかったものの、そこはかとなく不審な気持ちでいたのだが、どうやら既に一悶着あったらしい。駐禁を取られてしまったのだそうだ。Hの点数がなくなりそうなのでY子さんの点数でということに落ち着くまで色々と大変だったらしい。

でもまあ出発。本日の目的地は淡路島。明石大橋を渡ってすぐのところのSAが眺めも良いとのことで、まずはそこへ向かうことにした。まるで梅雨明けしたかのような好天で気持ちが良い。橋もすっきり綺麗に聳え立っている。空いているのもあって、あっというまに淡路島に到着。と、Hの携帯に電話。レンタカー屋さんからで早速駐禁の処理についての連絡らしい。すごく素早いなあという感想と、でもレンタカーしてから時間もあまり経っていないわけで運転中だろうと想像しないのかなという感想と。Y子さんがその電話の対応をしている間に、橋の通行料を取るゲートをくぐり抜けたと思ったら、検問のお巡りさんみたいな人にこっちこっちと呼ばれる。

何事かと思ったら「はい、後部座席の人、シートベルトしてないですねー」と言われる。あら、そういえば…と言われて気づいたが、「1点引かれる違反になりますー」とのこと。ナンデスト?!ついさっき点数が足りないかもという話をしてたばかりだというのに、なんてこと!「一般道も義務なんですが罰則規定はないんですねー」とあくまでも丁寧に説明してくれるお巡りさん。でも、「罰金とかじゃないんですか」「さっき駐禁も取られたばかりなんです」「何とかなりませんか」とゴネてみるもダメ。さすがに今回は運転者も特定されているから逃げようがない。周囲を見ると切符を切られている車ばかり。3人以上乗っている車で後部座席の人もベルトちゃんとしているケースなんてほとんどないのではないだろうか。ワタシの場合は後部座席に乗ることが少ないし、乗ったとしてもタクシーで、最近では「ベルトはいいですよ」と言われることばかりなので、まったく想定してなかったわ。ホント申し訳なし。

立て続けに2件もそんなアクシデントに合い(自業自得とはいえ、やっぱりアクシデントに「遭った」気分)、ちょっとテンション下がり気味な3人。とりあえず予定通り、淡路島に入ったところにある淡路SAで休憩。お天気はめっちゃいいし、確かに橋の眺めもすばらしく、少し元気になった。今後の予定を検討。お昼に淡路島牛丼を食べることと、夕方にうず潮観潮船に乗ることは決めていたが、どこの牛丼がいいかとか、どこへ行くかとかはまったく決めていなかったのだ。パンフに出ていた「あわじ花さじき」のお花畑が綺麗そうなのでそこへ行こうかということになったが、手前にある「淡路夢舞台」というところにも温室があり、さらに牛丼も食べられると判って、まずは夢舞台へ行ってみることにした。

ちなみに淡路島牛丼とは島おこしの一環で淡路牛と淡路島産の玉葱・米を使った牛丼というのを全面押ししているのだった。2008年から始まったプロジェクトのようで、JAや観光協会が後押しして、島でなんと52店舗も牛丼を食べれる場所があるという。それが一覧になったパンフや専用サイトもある。牛丼とはいっても、そこは出すお店の好きなようにして良いらしく(たぶん材料が淡路島産であることが縛りなんだろうな)、かなりバラエティ豊かではある。ステーキ丼や牛あなご丼というのもあれば、フレンチレストランではデミグラスソースがかかったものだったり、カツと海老天も入っている牛丼もあったり、卵とじもあったり。一番ビックリしたのはインド料理屋でも出していることだった。牛食べていいの?!

ワタシ達が夢舞台にある「グリル淡路夢工房」を選んだのは比較的オーソドックスな牛丼が食べれそうだったからである。しかし、夢舞台がどんな場所なのか全く知識なしに向かったので、到着してビックリ。広大な敷地に、打ちっぱなしコンクリートの巨大な建物が幾つも並んでいる。どうやらウェスティンホテルや国際会議場もあるらしい。レストランがあると思しき建物の地下駐車場に車を停めたところ、中央に楕円形のオープンスペースがあり、全体は迷路のようになった不思議な建物。一体この場所は何なの?!と思ったら、どうやら2000年に開催された国際園芸・造園博「ジャパンフローラ2000」の会場となった場所らしく、安藤忠雄の設計によるものらしい。この打ちっぱなしコンクリートはそういうことかー。

とりあえず、相当空腹だったのでお昼ご飯を食べに行く。淡路牛焼肉牛丼1350円+玉子。結構甘めな味付けだけど、お肉も柔らかくて、なかなか美味しい。淡路島の玉葱はさほど特徴のない玉葱だけど(どちらかといえば、生産量が多い分、どこでも普通に流通していることが特徴とも言える)、やわらかく煮込まれてたっぷり入っていた。久しぶりに牛丼食べたなー。

さて、お腹も満たされたので、この不思議な場所を探検に出掛ける。地図を見て、展望台方面へ向かってみる。木や森なんだけれど、イングリッシュガーデンのような趣向もちょこちょことあって面白い。和洋折衷というか、「自然」「洋」折衷というのが、本家のヨーロッパの庭園とはまた違った感覚で楽しいね。それにしても、すごく広大な敷地のわりには人も少なくてとても静かな場所である。歩く分にはとても快適なんだけれど、観光地としては厳しいんだろうなあ。展望台から海に向かって開けた敷地全体像を見渡したあとは、これまた目玉だと思われる「百段苑」へ向かう。

遠くからも段々畑のようになった花壇が見えていたのだが、近くへ行ってみたら、より面白いことになっていた。100区画に区切られた花壇が階段でつながっているのだ。規則的に繋げられてはいるので、ある面から見ると整然と並んでいるのだけれど、別の面から見るとまた全然違う印象。安藤忠雄の「ふしぎな絵」に出てきそうな風景だ。ワタシはガウディ作品であるカサ・ミラの屋上に似ていると思ったけれど、Hはマチュピチュに似ていると思ったらしい。何かそういったものから着想を得ているのかもしれないね。そして一つ一つの花壇にはさまざまな種類のキク科植物が植えられている。菊は国花であり、かつ世界中で数多の品種が栽培されていることから、テーマとして選ばれたらしい。

建物部分の方に戻る。こちらも滝の裏を通れるようになっていたり、日時計があったり、貝殻が敷き詰められた池があったり、趣向に富んでいる。この敷地ぜーんぶをデザインしたのかな。すごいなあ。あそこにはこれを、こちらにはあれをと考えるだけでも大変そうだ。ダイナミックかつ優美さ、コンクリートと自然との一体感など、彼の思想が余すところ無く反映されている気がして、とても良い場所だなあと思った。観光地として維持するのは大変だろうと想像するけれど、安藤忠雄の芸術作品として是非末永く維持していってほしいと願う。

炎天下の中、かなり歩き回ったので、ぐったり。花さじきに寄るのは止めて、直接宿へ向かうことにした。島を一気に南下。疲れていたせいか、かなりの時間寝てしまったワタシだが、きちんとシートベルトはしていたよ。淡路島南ICで降りる。もう大鳴門橋が近くに迫っている。ワタシたちは南あわじ温泉郷に泊まることにしているので、案内にしたがって車を走らせると、これまたビックリするくらい、こじんまりとした小さな港にへばりつくように数軒の旅館が並んでいた。完全に昭和で時が止まっているみたいな感じ。今回のコンセプト(?)は食事の美味しい旅館に泊まるということで、むしろこの「いかにも旅館!」という風情も逆に好ましかったりする。

しかし、玄関に入ってみると、そこは明かりもついていない。「こんにちはー」と声を掛けても誰も出てこない。もう15時くらいなので早く着きすぎたってことはないだろうけれどなあ。あたりをウロウロしていると年配の女性が出てきたので、今日宿泊予約をしていることを伝えたら、「え?」と驚かれる。キャンセルになったと思ってましたと。Y子さんが楽天で申し込んでくれたのだけれど、いったんキャンセルして予約を取り直した分がどうも伝わっていなかったみたい。まさか路頭に迷うのかしらと不安になったが、お部屋は空いている様子。だけど、ここはお食事(特に鯛の活造り)がウリのお宿なので、それが準備できなかったら悲し過ぎるし…と確認したら、今から手配しますとのこと。出来るのかしら?

で、本当は「曰くつきの部屋」、もとい、「訳あり部屋」で予約していたのだ。1階に水槽があるために、その階のお部屋は夜中もずっと水槽の音が聞こえてくるそうで、それで良ければお食事を少しグレードアップしますよというプラン。宿泊料は1泊2食つきで9000円。旅行前にどこの宿にするか相談しているときに「曰くつきの部屋」として刷り込まれてしまったのだが、お化けとかが出るみたいな「曰く」だったら、どんなに安くても嫌だけれど、水の音くらいだったら気にならないしと言ったら、二人も同感だったらしく、この宿に決めたのである。

そんな経緯があったのだが、なんと今日はほかに宿泊客がいないらしく、3階のお部屋に泊まらせてくれることになった。しかも今晩は宴会が入っているということもあり、食事も部屋食にしてくれた。通してくれたのは3階の角部屋、海が見える一番良いお部屋だったのだが、なんと食事はここで、寝るのは一つおいた隣のお部屋でということになった。いくら空いているからとはいえ、二部屋も使わせてくれるなんて!食事の上げ下げとお布団敷いたりは別の部屋のほうが作業的にも楽なんでしょうけれど、泊まる側から言えば贅沢よねえ。土曜日に他にお客さんがいないなんて流行ってないのかしらと余計な心配をしてしまったが、昨日は20名の団体さんが泊まっていたとか。そういう意味では非常にラッキーだったみたい。

お部屋でちょこっと休憩。ところでワタシ達、実は変な3人組ではある。妙齢(?)の女性2人と男性1人。しかも3人同じ部屋で寝泊り。宿の人も3人の関係について考えあぐねたらしく、出した結論は、ワタシが残りの2人のお母さん!えー、ひどい。よよよ。違いますと言うと、罪滅ぼし(?)にかワタシのことをハーフみたいですねえ綺麗ですねえとしきりに言う。そんなことじゃ誤魔化されませんヨ!

それはさておき、部屋で少し休憩したあと、うず潮を見に行くことに。時間帯があるので電話して確認するようにとどこの案内にも書かれているので、Hが電話してみたら、まさに今(16時)出ますというタイミングだった。宿と目と鼻の先なので「5分で行きます!」と言って電話を切って宿を出たのだが、5分どころか30秒という距離だった。このあたりの宿に泊まっていると100円引きだそうで、1400円払う。

小型のクルーザーに乗り込むと、あっというまに出発。お客さんはワタシ達3人と、他に4人ほど。ワタシ達は船の後部を独占。しかも船のおじさんに上に上がっていいよと言われ、梯子を上り、上のデッキを独占。なんとまあ贅沢な。瀬戸内海の風を受け、快適なクルージング。うーん、こういう感じだったら自分の船ほしくなっちゃうなあ。

10分ほどで大鳴門橋のたもと近くに到着。ここからはうず潮があって揺れるので1階デッキに戻る。過去に一回大鳴門橋は車で通ったことがあって、その時に下の方で渦が巻いているのが少し見えた記憶はあるのだけれど、ちゃんと見るのは今回が初めて。イメージ的には一箇所で大きな渦が巻いていると思っていたのだけれど、違うのね。渦が湧いてはなくなり、別の場所で湧いてはなくなりという感じなのだ。しかも大きさも大きいの小さいの色々。あまりはっきりとした渦に見えないものもある。


小さい渦


大きい渦。

うず潮ができる理屈。今の時間帯は太平洋側は満ち潮で、瀬戸内海側は引き潮で、なんと高さの差が2mほどあり(写真でもわかるくらい)、太平洋側から瀬戸内海側へ水が流れ込んでいる。そして流れ込んだ水は一旦海底に引き込まれて、再度海面に浮上してくる(温泉が湧いているみたいな感じ)、そこに潮の流れがぶつかって渦になるというような話だった。なので太平洋側が引き潮、瀬戸内海側が満ち潮というときには逆の水の流れが発生し、同じ現象が起こるので、一日に二回見れるのだそうだ。引き潮もしくは満ち潮一回につき、前後2−3時間ほど見れるらしい。


奥の黒っぽい水が太平洋、手前が瀬戸内海。奥のほうが少し高くなっているのが判る。


温泉のように底から湧いてきているように見える

あちこちでボコボコと渦が湧いて、白っぽくなっている。それ以外の瀬戸内海はすごく穏やかなので対照的。他にもたくさん船が出ている。大きいのは咸臨丸だと思うし、徳島の方から来ている船もあるみたい。橋の両側を行ったり来たりして、うず潮を堪能し、また元来た港へ戻る。船のおじさんが色々と説明してくれて、写真も撮ってくれて、いいヒトだった。16時に船が出て、16時半くらいには戻ってきたかな。

そのあと、コンビニとかへ行きたいなと車を走らせるも全くなし。でも「道の駅うずしお」というのがあったので向かう。お土産屋さんだったのでコンビニ的に欲しいものは買えなかったけれど、ここにも展望台があって高台からうずしおを見ることが出来た。

その後、咸臨丸の発着場がある町にコンビニがあることがわかり、向かう。そこはちゃんと(といっても小さいんだけど)町だった。泊まっている伊毘港があまりに小さいので(漁村というにも小さいくらい)、それに比べるとちゃんとした町だなあという印象。

で、買い物をして宿へ戻る。18時半からお夕飯で、17時半には戻れたのでお風呂へ。家族風呂だけれど温泉。ナトリウム泉なので少しぬるっとしている。なんでヒトは温泉に入るとき「あ”ー」という声が出ちゃうのかねという疑問。「あー」じゃなくて、濁点がついちゃうのよ。気持ちよかったー。

そしてお夕飯を食べる部屋へ。おお、明石の鯛の生き造り!すごく立派なサイズだわ。それにサザエとかイカとか。どうやってお魚は手当てしたのかなと思ったら、クルーザーに乗っている途中でも見えたんだけど仕掛け網があるらしく、ワタシ達が泊まることがわかった瞬間に一匹あげてもらうようにお願いしたらしい。すごいー。それ以外にも煮魚や天ぷら、もずく、蛸の酢の物、瀬戸内海の素麺などなど。お刺身を早速いただくと、すごくコリッコリとしたしっかりした身で美味しい!!うずしおの中で(かどうかは判らないけれど)、もまれた鯛は身がしっかりして、養殖ものとは比べ物にならない美味しさだとパンフに書いてあったけれど、まさに!

宴会が入ってるのでゆっくり食べててくださいねと女将さんに言われる。女将さんと、女将さんが「ケイコちゃん」と呼ぶオバサマ。確かに女将さん(70代くらいだと思うけれど、すごく綺麗にお化粧している)よりは若いけれど、でもケイコちゃんも60代くらいだろうなあという年の頃。最初は御姑さんとお嫁さんかと思ったけれど、それにしては年が近すぎるかな。でも女将さんは結構ケイコちゃんに厳しい…し、お客さんにも厳しい。このヒトが御姑さんとかだったら、ちょっと大変かも。

それはともかく、立派な鯛は半身を「ほうらく焼き」にするとのことで一旦さげられた。「ほうらく焼き」って淡路島のどこの旅館でも書かれているので、どうやら名物っぽい。ちなみに冬から春は鯛、夏から秋は鱧というところが多いみたい。ちなみに下の宴会はおじいさん達らしく、最初のうちは物音一つ聞こえない状態だった。静かにお話してるのかねえなんて言っていたのだが、一時間半くらい経った頃から漸く声が聞こえるようになってきた。盛り上がりが遅いなあ。そしてカラオケも始まった。さてさて「ほうらく焼き」。「宝楽」もしくは「豊楽」って書くようで、楽焼きの平たい器に温石が置かれ、その上で鯛とサザエが焼かれている。この鯛が絶品!すごくしっかりした身で、鯛の旨みと甘みがしっかり感じられて、美味しい!

あまりにも食べるものが沢山ありすぎて、とても食べきれず。お腹一杯で眠くなってきちゃった。お部屋に戻ると布団も敷かれている。二部屋使わせてもらっている特典だわね。テレビをつけて、ちょっとしたらあっというまにHもY子も寝てしまった。まだ21時半前なのに。でもワタシも眠いのでそのまま寝ることにする。         →翌日へ

1日目<7月10日(土)>

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